Contents
■ 国鉄気動車最多の製造数を誇る急行形気動車
国鉄キハ58系気動車は、1961年(昭和36年)に登場した日本国有鉄道の急行形気動車です。当時、全国の非電化路線で運行されていた蒸気機関車牽引の客車急行を置き換え、無煙化とスピードアップを推進する目的で開発されました。系列全体(派生型含む)で日本の気動車としては最多となる約1,800両が製造され、全国の非電化路線に配備されました。

■ 運用環境に合わせた多彩なバリエーション
キハ58系は、運用される地域の気候や路線条件に合わせて、大きく3つのグループに分けて製造されました。
- キハ58形・キハ28形(本州・四国・九州向け) 標準的な平坦・暖地向けおよび寒地向けのグループです。エンジンを2基搭載する強力型の「キハ58形」と、エンジン1基搭載の「キハ28形」などを組み合わせて運用されました。
- キハ56系(北海道向け) 酷寒地である北海道向けに製造されたグループです。雪や寒さを防ぐための小型の二重窓や、強力な暖房装置などを備えているのが特徴です。
- キハ57系(信越本線向け) 急勾配で知られた信越本線・碓氷峠を越えるため、補助機関車(電気機関車)と連結して協調運転ができるように、特別なブレーキや空気バネ台車を装備したグループです。

■ 柔軟な編成で全国を結んだ「多層建て列車」
キハ58系は、1両単位で自由に連結・切り離しができる気動車ならではの強みを最大限に活かしました。異なる行き先の列車を途中の駅まで連結して走り、分岐駅で切り離してそれぞれの目的地へ向かう、あるいは別の列車と併結する「多層建て列車」として全国のローカル線を結びました。急行「アルプス」「きのくに」「丹後」「由布」など、数え切れないほどの急行列車として活躍し、のちには普通列車としても長く地域輸送を支えました。

■ 晩年の活躍と彩り豊かなローカルカラー
時代が進み、路線の電化や特急列車への格上げが進むと、キハ58系は次第に急行列車としての第一線を退いていきました。しかしその後も、全国各地のローカル線で普通列車へと転用され、長きにわたり地域の人々の足として活躍を続けました。 また、国鉄の分割民営化(JR化)以降は「国鉄急行色」から、各地域や所属路線に合わせたオリジナル塗装へと次々に塗り替えられました。バラエティに富んだご当地カラー(地域色)を纏って親しまれましたが、老朽化による新型車両への置き換えが進み、現在では日本の鉄道史に大きな足跡を残してJR各社からは引退しています。
